すべては効率のため? シリコンバレーのランチ事情

今、アメリカで起きていること
04 /22 2019
こんにちは。いつも読んでいて疲れる話題が多いので今日は息抜き(笑)ネタで。日本でも効率や時短を考えた職場では同じだと思いますが、シリコンバレーでの仕事の最低条件について書きましたが、今日はお昼ご飯について。

シリコンバレーの会社にも大企業から小さなスタートアップまでいろいろあるのと、雇用形態によっても条件が変わってくるので、一概に論じることはできないのですが、かなり多い割合で会社がお昼ご飯を支給してくれるところがあります。中には、社内にカフェテリアがあって、そこで食べ放題のところもありますし、近くのレストランで自由に食べて良いとか、出前で昼食を頼んで会社につける、というところもあります。自分でお金を払って昼食を買う場合でも、外で食べるよりは割安のところが多いです。まあ、それはどこでも同じでしょうかね。

この地域は、物価が高いのでお昼にサラダを買っても10ドルくらいはかかってしまいます。お肉とかお魚とか満遍なく入ったちょっとした昼食は、15ドルくらいかかってしまうので、会社がお昼を支給してくれる場合は、かなりありがたいです。また、会社側にとっても、充実したお昼を提供することで、離職率を抑える効果が若干あるのかもしれません。食べ物につられる人間の習性ってあるのかもしれないから…。また、この地域の特殊性を考えると、天才的なエンジニアとかが一部にいるし、仕事に没頭してワーカホリックな人たちも多いので、そういう人たちにもしっかり食べてもらって、きちんと仕事をして欲しいというのがあるのかもしれません。毎日、「どこで食べようか」ということを考えなくて済むということで、そのエネルギーを仕事に回して欲しいというのが狙いなのではないかと思います。

ビュッフェ

故・スティーブ・ジョブス氏が「毎日、何を着ようか考える」という作業をやめて、そのエネルギーを仕事に回して集中力を高めるために、毎日、同じ格好をしていたのは有名な話ですよね。どうやら、お昼に対する考え方も、似たような感じなのだと思います。そして、ある程度の規模の企業になると、社員が食事するカフェテリアやレストラン、出前店では「本日のメニュー」が当日の午前中に公開されるので、それをチェックして事前に食べるものを決められるようになっているのです。

私自身は「現場で決めたい派」だったのですが、これもシリコンバレー式の時短哲学とどうも関係しているようなのです。というのは、この地域では社員食堂的なカフェテリアや会社と契約しているレストランなどでお昼どきに「どれにしようかな?」と立ち止まって考えていたり、人が頼んだ食べ物を見たりしている人たちがほとんどいないのです。なんと!私はマイペースでいろいろ見たり、「今日は、何食べようかな〜」などと考えながら決めていたのですが、周囲でそんなにのんびりしている人が皆無で通行の邪魔になったりするので、だんだん事前にチェックして現場に行く前に食べるものを決める習慣がつきました。日本の混雑した駅とかで、必要以上にゆっくり歩いている人が迷惑に感じるような感覚と一緒だと思います。

以前、服装のことで「アメリカにも同調圧力がある」という話を書きましたが、こんなちょっとしたことでも、「郷に入れば郷に従え」だというのを実感しています。本当は、スローライフ的なものに憧れるんですけどね…ここでは無理みたいなんですよ。片付けに対する考え方も、ぜんぜん違いますしね。

前に簡単に書きましたが、お弁当を持って行ってもいい仕事環境のときに、5品くらい入れて盛り付けた日本仕様のお弁当を持って行ったら、アメリカ人の一部の女性に目をつけられてしまった話を書きました。なんと「そんなに弁当が大事なら、弁当屋になればいいのに。ここ辞めてw」というような嫌味を言われるようになり、仕事に支障をきたしてしまい、見た目を地味にするようにしたのです。アメリカといっても、さまざまな人種や背景を持った人がいて、さまざまな考えや感覚を持っているから、いろいろな意見があるのは当然です。アメリカでもシリコンバレーのような都会は競争社会なので、かなり多い割合で負けず嫌いな人がいるのではないかと思います。

ランチの例

私は、お弁当の事件があるまで、長年、アメリカでの競争は、仕事を奪い合うとか配偶者を奪い合うとか、人気のある無し、お金のある無し、外見の良さなどを張りあうことだと思っていました。というのは、全体的に日本から期限付きの交換留学や駐在でくる外国人に対して、アメリカ人はけっこう親切なのですが、それはお客さん扱いというかライバルとしてみなしていない際の行動で、「この人、長くここにいそうだな」と思われた瞬間に競争を意識した言動をとられることが多かったです。のんびり屋の私は、その競争に巻き込まれないように、かねてから、日系人ではないことを明言して、「私は日本で生まれ育った日本人なんだよ〜。毎日、米食ってるw」という感じでアメリカンじゃないことを強調して、それでなんとか熾烈な競争の枠から外してもらえていました。

しかし、弁当の品数で負けず嫌いのアメリカ人女性を刺激してしまい、「負けた!」と思わせてしまったというのは、かなりの盲点でした。(まさか、そんなとこでも常に勝ちたいと思っている人たちがいると想像できんかったw)しかも、私の弁当というのは、日本の標準からいったら普通よりも質素で、豪華なお弁当ではなかったのです。アメリカ人が作る弁当は一箱にパスタとか何か一品入っていて、別の容器にサラダかライスというようなのが平均的なものなので、豪華に見えたのでしょう。こちらの人から見たら、日本人の作る弁当は、ファッションに喩えるとスーパーモデル級だといっていいでしょう。

ちなみに、「お昼が食べ放題」ってすごくいい話に聞こえますが、実際にはそれも良し悪しな気がします。ビュッフェ形式のカフェテリアが併設されている企業などでは、いくらでも食べていいので、食欲をコントロールできない人は確実に太るし。(体験済み)また、おやつが食べ放題で飲み物も飲み放題のところも多いのですが、これも良し悪しですね。アイスティーや緑茶のようなものでも、1日に2、3本飲んでしまうとカフェインの取りすぎで逆に健康を害することもあります。また、甘くて美味しすぎるカフェラテとかフラペチーノみたいなものが出てくるところも、調子に乗って毎日、飲むとこれも、砂糖の摂り過ぎや体の冷やしすぎで健康に良くなかったりします。ミネラルウォーターでさえも、ヨーロッパ産の高級水は、硬水でミネラル分が多すぎて、あまり大量に続けて飲みすぎると腎臓に負担がかかったりするので注意が必要なんですよね。まあ、社割で会社のものを安く買えるような職種の人たちが、物欲をコントロールできないと貯金をなくしてしまうような状況と似ているかもしれません。

このあたりでは、知り合いの勤めている会社に尋ねて行って、いろんなランチを食べ比べすることもできるので、けっこういろいろなところの昼食事情がわかります。この地域は、全体的に健康志向の人が多いせいか、昼食もわりと健康的なものが多い印象があります。フライドポテトとか揚げ物をあまり見ないですね。まあ、でも私はやっぱりお米が好きなので、自分で作るおにぎりが一番いいような気がするな…。「グリーンスムージーで病気になる話」なんてのもありましたしね。

「今日は何食べようか?」
「今日は、どこ行く〜?」

そんな考えを持つことやそういう会話をすること自体が存在すらしなくなっているシリコンバレー。何か職場における「食」のオートメーション化と効率化が進んでいるのはわかるけど、「それは人間としてどうなんだろう」という一抹の不安が残る。しかし、人間というものは美味いものを食べ放題にされると、文句を言ったり疑問を呈したりすることがしにくくなる。それが狙いなのかもね…。
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sacredokinawa

アメリカ西海岸(シリコンバレー)に住んでいます。海外に住んでみたら日本がもっともっと好きになりました。遠くから日本を見た方がよくわかることもあります。2016年からやっていたアメブロのサイトがサイバー攻撃で閲覧できないページが多くなったので、こちらに引っ越してきました。リンクフリー、拡散OKです。ただし、記事内の参考文献や根拠とした過去記事へのリンクも一緒に入れてくださるようお願いします。